親・子ども・園のデータ

ジェンダーに関しての園意識

園児の個性を大切に

株式会社こどもりびんぐでは、今どきの園児とその家族(ママ・パパ)の実情や園の出来事・取り組みなどについて、幼稚園の先生や保育園の保育士の方々と情報交換をする「園巡回スタッフ」が在籍しています。今回は、そのスタッフがぎゅって2022年11月号巻頭特集「親子で考えてみようジェンダーのこと」を受けて、2022年10月に収集した、首都圏(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)のぎゅって配布園(保育園138園)の「ジェンダーに対する考え方」についてご紹介します。

◆保護者からジェンダーに関する要望を受けたことがある園は10.1%

保護者からジェンダー(性別)に関する表現や考え方について要望を受けたことはありますか?という質問に10.1%があると回答。要望により、園児に関してだけでなく、保護者の多様性にも配慮している園もありました。

【保護者からのジェンダー関連の要望】

・男の先生におむつ替えをしてほしくない

・女の子が「ちゃん」ではなく「君」で呼んでほしいと言ってきたことがある

・男の子用女の子用と記載された絵本があり、保護者から指摘を受けたことで、園長会で議題になり、廃棄した

・着替えは男女別にしてほしい

・保育者が「女の子らしいね」という表現をしたことを、第三者委員会に意見があった

・見学の保護者が同性カップルで提出書類に続柄欄はどう書けば?という質問があり、来年度からは書式を保護者1,2と変える予定

・兄弟関係で男の子が姉のお下がりを着てきて他の子がいいなとまねすることも、家庭により反応は違うのでそのあたりも難しいが、園ではその子らしさを受け入れている

・男なのに女の子の服装を好むという要望というよりは相談があった

・女の子が男の子に間違われるのでどうしたらいいかという相談を保護者から受けた

・10年程前に外国出身の保護者から、運動会の競技について男女で色分けするのはやめて子どもに決めさせてほしいと要望があり、それを機に園で話し合い、ジェンダーの問題に関わらずとにかく子どもに選択させることが増えた

 

ジェンダーを意識して園児に接している園は21.3%。ジェンダーに関して保護者に話した園も

男女での呼び方の統一(さんやちゃん付け)や、遊びや発表会も男女区別なく行っているなど、ジェンダーを意識して園児に接していると回答した園は21.3%に。また、先生がジェンダーに関しての研修を受講し、話し合っている園も。園内で先生で話し合い、さらに保護者にも話したという園もあり、ジェンダーに関して、園での意識も高まってきていることが分かりました。

一方で、「どの子もみんな平等に、分け隔てなく接しているので特に意識はしていない」「男らしい・女らしいではなく、あなたらしいねと使うようにしてる。意識することの方が不自然」というジェンダーを意識してというより、園児の「個性」として大事にしているという意見もありました。

 

【園児と接する際、ジェンダーについて意識していること】

・発表会で男女別の演目を用意しているが、「子どもには好きなのを選んでね」と伝えている

・こういう時代なのでいろいろなところで見聞きする。職員が研修に行ってみんなに講習した

・10年ぐらい前から取り組んでいます。男の子で着たいといえばドレスも着せるし、大きくなったらプライべートパーツを意識させるため着替えも男女別々にする。名前を呼ぶ時もちゃん・くんではなくちゃん・さんと呼んでいる

・普段はあまり意識していない。言い過ぎてもという感じ。ただ男の子だから女の子だからとは言わないように気を付けてはいる

・園内で先生たちとは話してはいるが保護者からの相談とかはない。園児たちを見てもあまり感じないので意識もあまりしていない。全国的にジェンダーが広がってきたらうちみたいな小さい園でも広がってくるのかも

・「男らしい」「女らしい」ではなく、「あなたらしいね」と使うようにしています。意識することの方が不自然

・基本、女の子、男の子という言い方をしたり、区別したりはしていない

・「男の子だから」「女の子だから」と決め付けず、色や洋服は配慮している

・着替えは男女別。呼び方は「さん」で統一

・トイレ指導は性別ではなく名前で指導している

・3歳児から制服だが、男女関係なく好きなものをと言っている。トイレ指導は生態的に出来るか出来ないかで指導している

・0歳児でも「さん」で統一。プールのお着替えは人権の視点から同じ場所ではあるがラップタオルを使い見えないように配慮

・SDGs前から男女別の保育はしていない。洋服や色に関してもその子が好きなものを選択している

・昔からの流れで帽子で男女色分けしていたり出席簿も男女で分けていたが、時代の流れを受けて園で話し合い、男女で分けることを極力やめるようにした。しかしあまり敏感になりすぎるのも変なので難しい

・女の子が「立っておしっこをしてみたい」と言えば経験として挑戦させたり、ピンクなどの淡い色を選ぶ男の子がいても特別視していない。今、話題としてあがっているので今後、積極的に考えていかなければならない問題として捉えている

・今後何か要望があれば応えていけるよう体制は整えている

・男女の性別を意識して保育したことはない。今後、保護者から何らかの要望が出たとすれば寛容に受け入れ、対応していくつもり

・ジェンダーと枠をくくって考えたことはない。「子どもそれぞれの個性を大切に伸ばしたい」という園の理念に則ってこれからも保育をしていく。もし保護者から何か特別な申し入れがあった場合は園職員一丸となって心して受け止めたい

・これまでは“男の子は青の札・女の子はピンクの札”などといった男女の区別を明確にすることが多かったが、性別に関係なく“みんな同じ”ということを意識した保育をするようになった。1年に1度は人権研修を受ける義務があるので受講しているが、コロナ禍で役所に足を運んで受ける研修ではなく動画研修も行うようになった。職員会議でもよくジェンダーについての話題が上がり、職員間で共通認識を図っている。「これからの時代はよりジェンダーについて気を付けていかないとね」と話している

・プライペートゾーンの大切さは意識して伝えるようにしている

・遊びに関して。おままごとも男女関係なくするなど

・もともと選択制保育でいくつかの遊びのコーナーを設けて園児が遊びを選ぶ形。職員内での話し合いは今後企画予定

・どの子もみんな平等に、分け隔てなく接しているので特に意識はしていない

・子どもにももちろん、職員同士でも男女差や偏った考えにならないよう気を付けている

 

■本件に関するお問い合わせ先

株式会社こどもりびんぐ シルミル研究所   担当:飯倉・岡﨑

TEL:03-5244-5761(10:00~17:00 ※土・日曜、祝日を除く)

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