親・子ども・園のデータ
園での「食育」に関して
「好き嫌いを減らすことはもちろん大事だが、食事の楽しさをまず知ってほしい」
株式会社こどもりびんぐでは、今どきの園児とその家族(ママ・パパ)の実情や園の出来事・取り組みなどについて、幼稚園の先生や保育園の保育士の方々と情報交換をする「園巡回スタッフ」が在籍しています。今回は、そのスタッフが2023年1月に収集した、首都圏(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)・関西(大阪府・京都府)のあんふぁん・ぎゅって配布園計170園(幼稚園92園・保育園78園)の「園での食育」についてご紹介します。
◆行っている食育で最も多いのは、幼稚園・保育園ともに「野菜などの栽培・収獲」
園で取り組んでいる食育で最も多かったのは、幼稚園・保育園ともに「野菜などの栽培・収獲」となりました。次に多かったのは、幼稚園は「食事のマナーを学ぶ」、保育園では「給食やおやつに季節感のあるメニューを取り入れる」という結果に。幼稚園と保育園で違いがみられました。
「『おおきなかぶ』の本を読んだ後、聖護院大根をカブに見立てて抜き、その大根の入ったみそ汁をみんなで作って食べた」と絵本で読んだ内容を体験として園児に伝えている園や、「お餅つきを行ったが、コロナの状況をかんがみて園児は食べずに園に飾るのみにしている。餅をつく楽しさや餅を作る楽しさを味わう機会に」「以前は育てた野菜を調理していたが、今は持ち帰らせている」といった、コロナ禍での食育を工夫して行っている園もありました。
◆「先生がマスクをしているので、食べ物をどのように噛むのか見せられない」との声が
子どものそしゃくに関して、幼稚園25.5%、保育園29.9%が、「気になることがある」と答えました。気になることを聞くと「よく噛まずに飲み込む子どもがいる。よく噛むことが脳の発達にもつながるので注意して声掛けをしている」「月1回、各家庭からおにぎり持参デーがあり、その際よく噛むことが必要なイカソーメンを用意している」「そしゃく力の低下を意識して、めざしやおしゃぶり昆布などをおやつで提供している」というそしゃく力を鍛える工夫をしている園や、「大人がマスクをしているので、実際にどのように噛むのかを子どもに見せられないのが残念。年々顎の力が弱い子が多くなってきている印象」とコロナ禍ならではの悩みの声もありました。
◆好き嫌いや食事を残すことへの対応
園児の好き嫌いや食べ残しについては、「無理強いはしない」という前提のもと、各園が工夫して対応しています。
【幼稚園】
・基本的には残さずに食べましょうとは伝えているが、個人差や環境、体調等も考慮し、保護者と相談して食べる量などを決めている
・自園給食なので収穫した野菜を見せ「これがみんなの育てた野菜だよ」と話してから給食に出すと、3年間で好き嫌いが少なくなる
・みんなが食べていると「自分も」となる。苦手な物でも「一口は食べようね」と声掛けをして、小学校に行くまでに口にできるようにするのが目標
・なめる→味を知る→小さくかけらにして、とちょっとずつ食べられるように促している
・配膳の時点で気を付けている。多く入れすぎない。嫌いな物は一口だけ口に入れればOKとしている
・少し食べてみようと促すが、家庭でも同じように接しないと、好き嫌いがなくならない
【保育園】
・調理しているところや食材を園児に見せるようにしている
・野菜を育て収穫し、食べてみることで食の大切さを子どもたちに理解してもらう
・「一緒に食べようね」など声掛けをしている
・残すというマイナスイメージを与えないように、少なめに盛り付けて食べきれるようにしている。その分、おかわりする子が多い
・苦手なものは、なるべく楽しく口に運んでみようと思える雰囲気作りをしている
・好き嫌いは無理強いをしない程度に食べるよう促すが、園だけでは解決せず、家庭でも取り組んでほしいが難しい
「好き嫌いはあって当然だと思っていて、お弁当には嫌いなものは無理して入れず、好きなものを入れてあげてと保護者に言っている。冷凍食品もOK。楽しく食事することが大事」「初めて食べる食材に対して拒否反応を示すのは本能。慣らしていけばいいこと。お弁当はお母さんを思いながら楽しく食べられればいいので、好きな物をたくさん入れてくれればOK」と、好き嫌いを減らすことはもちろん大事だが、食事の楽しさをまず知ってほしいと考える園の声も多くありました。
他にも、「『食育=親子支援』と考えている。働いていて忙しい保護者が多く、家庭でなかなか作ることができないという理由から『和食を食べさせてほしい』との声が多い。来園するママたちに食事について悩んでいることはないかと聞いてみると『食べてくれない』『何を食べさせたらよいのか分からない』『忙しくて孤食になってしまっている』『料理が下手』などと泣き出す方も多く、ママたちももっと楽しんで、上手く手を抜いてほしいと感じる」と、保護者に寄り添った温かいご意見もありました。
■本件に関するお問い合わせ先
株式会社こどもりびんぐ シルミル研究所 担当:飯倉・岡﨑
TEL:03-5244-5761(10:00~17:00 ※土・日曜、祝日を除く)
E-mail:enfant@kodomoliving.co.jp