親・子ども・園のデータ
シルミル研究所がパナソニックと共同調査~子育て家庭の掃除の実態~
ハイハイ期の衛生への高い意識と、時短・効率化を求める気持ちが浮き彫りに
こどもりびんぐのリサーチ部門「シルミル研究所」では、パナソニック株式会社との共同企画として「普段の掃除」に関する調査を実施しました。本調査では、子どもの誕生が掃除行動や意識に与える影響、そして乳幼児を育てる家庭特有の掃除の悩みやニーズを多角的に深掘りしました。定量調査に加え、詳細な日記調査と家庭訪問調査を行うことで、子育て世帯のリアルな声と、潜在的なニーズが浮かび上がってきました。
<調査概要>
調査対象 全国の0・1・2歳児がいる子育て中のママ、およびあんふぁん・ぎゅって読者
・定量調査:幼稚園・保育園ママ607名
・日記調査:定量調査から選出した子育て中のママ5名
・訪問調査: 日記調査参加者のうち2名のご家庭
調査方法・期間
1.定量調査:Webアンケート(n=607)、2025年1月15日~26日実施
2.日記調査:子育て中のママ5名が16日間、毎日の掃除に関する行動や心情を記録、2025年4月21日~5月8日
3.訪問調査:日記調査参加者のうち2名のご家庭を訪問し、掃除行動を観察・ヒアリング、2025年6月30日・7月1日
[POINT1]子どもの誕生で掃除の意識は向上、しかし8割が「大変になった」と感じるジレンマ
お子さんの誕生を機に、掃除への意識は大幅に向上しています。定量調査では「とても意識が上がった」と回答した人が29.3%、「やや意識が上がった」が50.7%で、合計80.0%の親が掃除への意識が高まったと回答しました。
一方で、掃除が「とても大変になった」と回答した人が44.2%、「やや大変になった」が36.6%で、合計80.8%が掃除が大変になったと感じています。

掃除にかける時間や頻度も7割以上の人が増加したと回答しており、子どもの誕生が掃除の負担を増大させている実態が明らかになりました。

[POINT2]乳幼児家庭特有の「床」への強い意識と具体的な悩み
乳幼児がいる家庭では、特に床の清潔さに対する意識が非常に高く、具体的な悩みが多数見られました。
最も気になる汚れは「髪の毛」「ほこり」「食べこぼし」
普段の掃除で気になる点として、「髪の毛」(88.3%)、「ほこり」(82.2%)、「食べこぼし」(70.5%)がトップ3に挙げられました。特に「食べこぼし」は、1歳児の家庭で82.9%と最も高く、乳幼児の成長段階で汚れの種類や気になるポイントが変化することが示唆されます。

ハイハイ期の子どもへの配慮が最優先
日記調査や訪問調査では、0歳・1歳の子どもを持つ親から、「子どもが何でも口にするので床に落ちてないようにする」「ずりばいでホコリが体にくっつくのが気になる」といった声が多数聞かれ、衛生面への強い意識が確認されました。

※画像はイメージです
「床のザラつき」「手あと・足あと」も気になる(訪問調査)
床のザラつきを気にして「素足で歩くのを避け、常に靴下を履いている」という声や、べたつき対策として子どもたちと帰宅後はまずお風呂に入る、といった声が訪問調査で聞かれ、体感的な清潔さへの意識の高さが示されました。
突発的な汚れへの即時対応(日記調査)
また、5名を対象にした日記調査の記録ではミルクの吐き戻し、離乳食や飲食物の食べこぼし、おしっこ、排泄物など、子ども関連の突発的な汚れに対し、都度、短時間で対応する実態が明らかになりました。

※日記記録と訪問調査のイメージ
[POINT3]約7割が短時間で掃除を完結、「短時間・こまめ」な掃除と効率化への強いニーズ
1回の床掃除にかける時間は「10分程度」が46.4%、「5分程度」が22.6%と、計7割近くが10分以内で済ませており、子育てによる時間的制約の中で、短時間で効率的に掃除を済ませたいというニーズが強く現れています。

「ゴミや汚れに気付く都度」掃除する割合が高い
掃除機がけのタイミングでは「ゴミや汚れに気付く都度」が69.1%と最も多く、日常的に発生する汚れに対し、こまめに対応したいニーズが読み取れます。
多様な道具を使い分け、時短・効率化を追求
コードレススティック掃除機(72.7%)が主流である一方、フロアワイパー(42.7%)、雑巾(36.7%)、ロボット掃除機(24.4%)、ほうき・ちりとり(23.6%)など、複数の道具を併用し、時短・効率化を図る姿がうかがえました。

掃除時間の捻出に苦労、復職でさらに簡素化
日記調査では、育休から復職した母親が「仕事」を理由に掃除しない日が増えたり、掃除が「簡単な掃除」「やっつけ掃除」になるなど、時間的制約が掃除行動に大きく影響を及ぼしている実態が浮き彫りになりました。
[POINT4]掃除は「面倒>気持ちいい」だが、「とても重要」なもの
子どもの健やかな成長や家族の健康のため、「清潔な環境を保つこと」は「非常に重要」(27.3%)または「重要」(57.2%)と認識する一方で、42.5%が「面倒」、21.1%が「義務感を感じる」と回答しており、清潔を保ちたい強い思いと家事負担増大との間で葛藤が生じていることが浮き彫りになりました。その結果、4割強が「普段の掃除に満足・納得していない」と回答し、両立が難しいと感じている人が多い結果となりました。


パナソニック株式会社 担当者より
今回の調査を通じて、子どもが生まれたことをきっかけに、多くのご家庭で掃除に対する意識や行動が大きく変化していることを実感しました。清潔意識が高まる一方で、家事にかけられる時間やゆとりが限られる中、掃除の納得感や満足感をどのように感じているかの生の声はとても参考になりました。特にハイハイ期のお子さまを持つご家庭では、床の衛生に細やかに気を配りながら、短時間で工夫して掃除に向き合っている姿が印象的でした。当社では、普段から掃除の負担を少しでもラクにしたいと考え、技術や使いやすさを追求したものづくりに取り組んでいます。今回の調査で得られた声を今後の商品開発に反映し、子育て世帯の暮らしに寄り添う価値を提供していきたいと思います。
くらしアプライアンス社 ランドリー・クリーナー事業部
商品企画部 クリーナー商品企画課
小泉 仁世さん
シルミル研究所 担当者より
本調査を通じて、乳幼児を育てる家庭では、子どもの健康や安全を守るため、床の清潔さに対する意識が非常に高いことが明確になりました。私自身も経験がありますが、乳幼児期はの掃除はエンドレス! あっちこっちで何かがこぼれては対応し、髪の毛1本気にする毎日(特に第1子は敏感に!)。育児や家事、仕事との両立を目指しながらも、増大する掃除負担との間で葛藤を抱えています。定量調査では掃除機をかけるのは主にママということも判明。とても1人では手が回りません。このジレンマを解消するため、「短時間で効率的に」「気になる汚れを手軽にこまめに除去できる」ツールが求められています。そして、日記調査と訪問調査で分かったのは、「達成感」が「満足度」につながるということです。その日掃除できたゴミの量が目で見て確認できると「こんなに掃除できた」という達成感が生まれ、その日計画していた掃除をやりきれると満足感が得られることも分かりました。そんな掃除が、子育て世代の掃除を「負担」ではなく「楽しい」と思わせてくれるのだと思います。
シルミル研究所 岡﨑奈穂子