親・子ども・園のデータ
「子どもに対する『女の子らしさ』『男の子らしさ』意識調査」を実施
保護者の約5割がジェンダーバイアスに気を付けている一方、性別を理由に子どもが欲しがった商品を購入しなかった人も
親子の園生活を応援する情報誌「あんふぁん」「ぎゅって」を発行する株式会社こどもりびんぐ(所在地:東京都千代田区、代表取締役:中島一弘)において、 子育て世代の消費・行動調査、ランキング事業を行う「シルミル研究所」(※1)は、株式会社電通(本社:東京都港区、代表取締役社長執行役員:榑谷 典洋)の「電通ダイバーシティ・ラボ」(※2)と共同で、0歳から小学6年生の子どもをもつ保護者681名を対象に、子どもにまつわるジェンダーバイアスに関する意識調査を、『子どもに対する「女の子らしさ」「男の子らしさ」意識調査』(以下、「本調査」)として実施しました。
本調査の目的は、国連が定める持続可能な開発目標(SDGs)17の一つとして「ジェンダー平等の実現」が掲げられる中、「女の子らしさ」「男の子らしさ」といった子どもにまつわる「ジェンダーバイアス」 (※3)の意識を明らかにし、子どもたちの個性が尊重される社会に必要な視点や取り組みを紐解くことにあります。未来を担う子どもたちの親はどのように考えているのか、その結果を報告します。
■「ジェンダーバイアス」を知らない保護者が約6割(60.2%)に対し、約9割(88.5%)がその意味を知れば「子どもにも教えるべきと思う」と回答
「ジェンダーバイアス」という言葉を聞いたことがあるかという質問に対し、回答者の60.2%がジェンダーバイアスを「聞いたことがない」「聞いたことはあるが、意味までは理解していない」と回答。【図表1】
一方で、ジェンダーバイアスとは「『女の子らしさ』『男の子らしさ』など男女の役割に関する固定的な観念や、それに基づく差別・偏見・行動などを意味すると説明した上で、「幼稚園・保育園・小学校で『ジェンダー平等』について教わる機会があるとよいか」という質問に対しては、88.5%の保護者が「とてもそう思う/ややそう思う」と回答しました。【図表2】
回答者の中からは「大人もイマイチよくわからないのが現状なので、子どもと一緒に学べる機会があるとうれしい」(30代/3歳・小1・小5)、「絵本や漫画など子どもと一緒に学べる簡単なものがあると良い」 (40代/3歳・小1)といった声が聞かれ、子どもと一緒にジェンダーバイアスについて考える機会を設けることが重要と考えられます。
*回答者コメント注:(親の年代/子どもの年齢)
■「ジェンダーバイアス」の意味を設問に加えたところ、保護者の約半数(49.6%)が、子どもと接する際に「ジェンダーバイアス」を意識し、その多くは「子どもの意見を尊重したい」「世の中の価値観が変わってきていると感じる」と回答
子どもと接する際に、ジェンダーバイアスを意識している親は49.6%【図表3】。その理由としては「子どもの意見を尊重したいから(63.3%)」「世の中の価値観が変わってきていると感じるから(61.2%)」が多く、子育てに対して「女の子らしさ」「男の子らしさ」より、「その子らしさ」を尊重したいという意識が見られました【図表4】。
具体的にどのような点を意識して接しているかを聞くと「男の子だから、女の子だからと言わないようにしている」(回答者多数)、「遊び相手や持ち物の色を性別で区別しない」(30代/4歳・6歳)、「自分が自分らしく生きることがその人にとって幸せなんだと話した」(40代/4歳・小1・小3)という声が多数ありました。
■保護者の約4分の1(24.5%)が、子どもが欲しがった商品を「女の子(男の子)だからふさわしくない」という理由で購入しなかった経験があり、その多くは売り場が男女で区別されている玩具・衣類等
子どもが欲しがった商品を「女の子(男の子)だからふさわしくない」という理由で購入しなかった経験がある保護者は24.5% 【図表5】 。売り場が男女で区別されることの多い「玩具」(53.3%)と「衣類」(45.5%)が上位となりました【図表6】 。
「提示されている性別から選ぶべき」というバイアスにとらわれやすい傾向が見られましたが、回答者のコメントからはそれを押し付けてはいけないと葛藤する姿が見られました。固定化されたジェンダーの区別をなくすことが、子どもの個性が尊重される世の中をつくるきっかけとなると考えられます。
子どもが欲しがったけれど“購入しなかった”
・息子がランドセルの色を「赤が良い」と言った時に、「こっちの色の方がかっこいいよー」と言ってしまった(30代/1歳・4歳・小1)
・息子に「この服が欲しい」と言われた服にリボンが付いていたので、「(リボンの付いていない)こっちの服はどうかな?」と誘導して購入を避けてしまったことがありました。しばらくたった頃、「○ちゃん(息子の好きな子)がリボンやピンクが好きだから、ぼくも欲しいんだ」と話してくれました。(30代/1歳・5歳)
迷ったけれど“購入した”
・ピンク色のすみっコぐらしのパジャマが欲しいと言ってきたので、ピンクは女の子じゃない?と言ったら、なんで女の子しかピンクはだめなの?と言われました。どうしてもすみっコぐらしは女の子色が多いので困った結果、パジャマなので買いました。(30代/0歳・4歳)
・入学準備をしている時に、消しゴムケースの色にピンクやオレンジを子どもが選んできた。周りから「女の子が選ぶやつなのに」と言われないか少し心配になりましたが、子どもが自分で選んだものなので、OKと言って買いました。結構かわいいものが好きなので、女の子が選ぶものだけどいいの?と聞かないよう意識しています。(30代/3歳・6歳)
■保護者の約4割(37.9%)が、子どもが「女の子なのに」「男の子なのに」と他人から言われてモヤモヤしたことがあり、その相手で特に多かったのは子どもの祖父母
「女の子なのに」「男の子なのに」と、自身の子どもが他人に言われてモヤモヤしたことがある保護者は37.9% 【図表7】 。そのように言った相手の60.9%は、子どもの祖父母でした【図表8】 。ジェンダーバイアスは生きてきた時代背景や環境の違いが深く影響すると考えられます。
【調査概要】
■調査方法:インターネットによる調査 ■調査対象者:子育て情報サイト「あんふぁんWeb」「ぎゅってWeb」メール会員(全国)のうち、小学生以下の子どもをもつ保護者 ■調査時期:2022年2月16日~3月6日 ■回答数 :681人 ■調査実施:株式会社こどもりびんぐ(シルミル研究所) ■出典:こどもりびんぐ「シルミル研究所」、電通ダイバーシティ・ラボ
※1:シルミル研究所:未就学児ファミリー向けの無料情報誌「あんふぁん」「ぎゅって」を発行する株式会社こどもりびんぐでリサーチ事業を担う。読者を対象としたアンケート調査のほか、全国の子育てファミリー(ママ・パパ)を対象にした「こどもリサーチ」や「小学生リサーチ」、「保育士リサーチ」等マーケティングリサーチを実施。複雑化・多様化する対象者の“ホンネ“を徹底調査し、情報発信を行っている。
https://kodomoliving.co.jp/research/
※2:電通ダイバーシティ・ラボは、2011年に創設。ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン視点で、自社と顧客の双方に対するソリューション開発と提供を推進する、電通の組織横断型専門タスクフォース。「ジェンダー」「障がい」「多文化」「ジェネレーション」の4つの主要テーマを中心に、20ほどの独自プロジェクトと100名ほどのメンバーにて活動を続けている。子どもを取り巻く社会課題を可視化することを起点としたDE&I実現への貢献や、独自の調査・研究および外部の専門家・研究機関・当事者団体などとの協働により、各種ソリューションの開発・提供や、情報発信も行っている。
https://dentsu-diversity.jp/
※3:本調査で「ジェンダーバイアス」とは、「女らしさ」「男らしさ」など男女の役割に関する固定的な観念や、それに基づく差別・偏見・行動などを指す。(例)女の子はピンク、男の子は青色、と考えることが多い
■本件に関するお問い合わせ先
株式会社こどもりびんぐ シルミル研究所 担当:岡﨑
E-mail:research@kodomoliving.co.jp