園ふぁん 2025年3月号

- ページ: 8
- 運動を子どもたちに 好きに なってもらうには?
近年、日本の子どもの運動能力の低下が社会問題となっています。国の調査※によると、体格は良くなっているものの
「走る、跳ぶ、投げる」といった基礎能力が下がっているよう。園でどのような取り組みをしているのか、二人の先生に話を聞きました。
※スポーツ庁「令和5年度体力・運動能力調査の結果」
子どもたちの運動能力の低下を感じる?
体幹や立ち姿勢も課題
今と昔を比べると、運動能力の低下をとても感じま
すね。特に体幹が弱く転びやすかったり、まっすぐ立つ
のが難しかったり、基礎運動能力が低下しているようで
す。スポーツ系の習い事で運動習慣がある子とそうで
ない子の差もありますね。
子どもたちを取
り巻く環境の変
化も
影響
僕も、長期
的に見て運動
能力は低下し
ます。安心感
ていると感じて
のある遊び 場
い
が身近になか
遊具が簡単に
ったり、あって
なっていて遊
も
び方が単純に
また入園まで
な
りがちですね
に親子で体を
。
使って遊ぶ機
とも、身のこな
会が減ってい
しができず感
るこ
覚
的
に動けないこと
ていると思いま
につながっ
す。
みんなが運動を楽しめるために、どんな工夫をしている?
く提供
きる遊びを楽し
全身運動がで
かむために手
です。突起をつ
あるん
たり、実
ボルダリングが
伸ばすか考え
うちの園には
どこに手足を
、
り
た
っ
使
きあそび」
経を
つ
神
れ
の
ゃ
先
じ
ま
つ
は「
先や
らに今年度
、全身で
んですよね。さ
って逃げたり
はとても難しい
とで、体をねじ
こ
る
ぐ
す
と、運動
く
る
。
え
た
い声が聞こ
を導入しまし
や子どもの笑
しそうな先生
ろな遊びを選
い
。楽
ろ
…
い
り
も
た
に
い
動
てくれます。他
喜んで参加し
が苦手な子も
。
す
ま
い
て
し
意
べる環境を用
練習 になってはつまらない
僕は運動の授業の時は、子どもたちの動きを止めないよ
う、テンポよく次の運動に移り、変化をつけるようにして
います。例えば跳び箱など、一度跳んだら待つを繰り返す
と、次第に 練習 になってしまいます。それではつまらない
ので、待ち時間を減らし、体を動かすことで心も動いて楽
しく取り組めるようにしています。
何度も挑戦できる仕組みに
「失敗しちゃだめ」 から解放してあげたい
失敗することも大切ですよね。真面目で「もっと頑張ら
なきゃ」と思う子ほど、壁にぶつかると運動を嫌いになるこ
とも。なので私自身が失敗するところを見せたり、本気で関
わったりします。「運動を好きになってもらおう」というより
は、先生との信頼関係を作り楽しむ中で、全身を使う動きが
できればいいと思っています。
「しっぽとり」は取られても復活できるようにしたり、鉄棒
は回れなくてもボールを足に挟みぶら下がる遊びにしたり、
ルールを変えて何度も挑戦できるようにしています。できず
に終わりだと苦手になってしまいますが、「できた」「成功
した」という経験の土台があれば「次はこうしよう」という
頑張りに変わると思います。子どもの 心のスイッチ を押し
てあげられるのも、「できなくてもいいんだよ、やってみよう
よ!」という先生の言葉掛け次第ですよね。
はすぬま第二保育園(埼玉県)
園長 對馬幸子(つしまゆきこ)先生
向島幼稚園(京都府)
体育指導主任 八藤直樹(はっとうなおき)先生
陽当たりの良い広々とした園の中で、心身ともに健
康で、思いやりと、自分で考え行動する力が身につ
いていくような保育を実践している。
幼少期の運動の必要性を重視し、体育指導のほか、親
子遊びや保育者向けの運動遊び講師として、運動の
楽しさの普及に取り組んでいる。
8
- ▲TOP